JOETSU WALKER
失恋のすゝめ
独りになりたかった。
知らない人しかいない場所へ行きたかった。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」なんて、
昔の人が小難しいことを言ってたが、
今の「私」は「人」のことなんて考えたくなかった。
なぜなら「私」は失恋者なのだから。
映画は良い。独りで映画の世界に引かれるからだ。
創業108年の歴史を持つレトロな建物が落ち着きをくれる。
独人になる努力をするため座席につくと、「私」と同じ、独りがいた。
腹の虫がちょうど鳴る頃、私が注文したうどんが店主から渡された。うどん屋なら1人でいても何ら不思議じゃない。堂々と独りでいられる。
店主は優しい笑顔でうどんを渡してくれた。独人の私に向けられる優しさが今は眩しすぎる。
水飴をねっていた。430年の歴史ある水飴だ。お店のお母さんは気さくにお店の歴史を話してくる。独りでいる努力の真っ只中にいる私には、話を聞きながら、水飴を落とさないようにねる作業は実に難しい。
雁木の下を行儀のいいアリのように歩く列から外れ、
「独り」の私の足は自然と寺町へ向かっていった。
凛とした空気に「独人」が二人。
名前も知らない「独人」は、私と同じ失恋者であろう。
結局「独り」にはなれなかったり。
「独り」になるのは実に難しい。
INFORMATION
本サイト「上越ウォーカー」は、2019年9月28日〜29日、地域活性化センター主催「地方創生実践塾 in 上越」として開催した「まちづくりメディアラボ 〜WEB・動画・写真を駆使した地域プロモーション技法を学ぶ〜」の初期的な研修成果物(Minimum Viable Product)です。地域プロモーションを担うプロデューサー技法の習得を目指した取組で、主任講師を務める谷中修吾氏(BBT大学 グローバル経営学科長・教授/INSPIRE 代表理事)の監修のもと、参加者28名が2日間で仕上げました。企画の実現性を検証する前段階の成果物であり、あくまで本番仕様ではないということをご留意の上でご覧ください。